掲載日:2006年7月1日
あらたな「人事評価制度」ってな〜に?
市側が一方的に新たな人事評価制度を導入しようとしていることに対し、組合として私たちが求める新しい人事評価制度についての考え方をまとめました。
1.はじめに
市職は、今日、自治体に求められる役割が大きく変化する中、また、市側が人事評価制度を今年度から導入するとしている中で、職員の能力開発や人材育成を目的とし、「組合員の能力発揮を促すことに繋がり、職務遂行を通じた組合員の満足度を高める」人事制度の確立は不可欠であると認識しています。
これまでの勤務評定制度は、その評定結果を「人事異動」「昇任・昇格」などに活用されてきたことが推測されますが、どの段階のどのような結果によって「昇任・昇格」「人事異動」の際にどのように活用されているのかも全く不明であり、当局による窓意的な取扱いが可能な偏向した参考資料であったことは否定できません。市職は、このリーフレットをつうじて、市側が導入しようとしている人事評価制度の問題点に触れるとともに、私たちが求めている人事評価制度のあり方の骨子を明らかにするものです。
2.あたらな人事評価制度の問題点
市職は、日常業務に携わる組合員のやりがいや働きがいを高めること、また組織の活性化にとっても有効に機能するシステムを確立するには、民主的な人事評価が必要であり、現行の勤務評定制度を見直し、あらたに人事評価制度を確立することは不可欠であると考えます。
ただし、あらたな人事評価制度は給与処遇への反映が想定されており、市職は、当局に対し「勤務評定制度」や「勤務評定を前提とした人事制度」の問題点を解消する仕組みとして制度構築するとともに、その導入にあたっては労使交渉・協議を尽くすよう求めています。
しかし当局は、これまでの勤務評定制度の問題点を何ら検証することのないまま、「評価(勤務評定)制度を見直す」こと自体を目的化し、組織理念・組織目標や人事政策・人材育成方針等を確立することなく、さらに職員の代表である労働組合とも十分な協議を行わないまま制度導入を強行しようとしています。一人ひとりの組合員の日頃の業務内容が的確に評価される人事評価制度として確立するのか重大な疑問が残ります。
3.わたしたちのめざす「人事評価制度」とは
当局は、「職員の勤務意欲の向上、組織の活性化を図り、公務の円滑な運営の確保と市民サービスの一層の向上に資する」ことを制度導入の趣旨としています。市職は、この趣旨を否定するものではありません。
自治労は、2001年2月の「人事制度の民主的改革をめざして」において、「新たな人事評価制度に対する指標」として、「公平・公正」「透明」「客観」「納得」の4原則が担保される評価制度でなければならないことや、「労働組合の関与・参加」と「苦情解決制度の構築」の2要件について考え方を明らかにしています。
しかし、当局は、人材育成など本来の目的、基本理念を持たず、「勤務評定制度を見直す」ことのみを目的化しています。表面的には「公正・公平性、客観性、納得性」を掲げられていますが、この3項目すらどのように担保されているのか不透明であり、恣意的な人事施策を推進しようとするものと認識しています。
市職は、最低限4原則・2要件が担保された「人事評価制度」として確立すべきであると考えます。
労働組合が求める「4原則」とは
公平・公正の確立
- 職種間・男女間等の不当な格差を払拭する効果が確認できること。
- 評価項目・評価基準は長期的な能力の発展段階に応じた基準とし、職務内容に即して作成されること。
- 絶対評価・加点主義評価を採用すること。
- 評価期間中の休業や家族的責任に対して適切な配慮があること。
客観性の確保
- 評価項目・評価基準は職務内容に基づくものとし、性格・人格に関わる評価は絶対に行わないこと。
- 多面評価を採用し、部下による上司の評価を併せて検討すること。
- 評価者訓練を定期的にかつ十分に行うこと。
- 評価項目・評価基準づくりの民間業者への安易な委託を行わないこと。
透明性の確保
- 評価項目・評価基準をあらかじめ職員に開示すること。
- また、検討段階から労働組合の参画と意見反映を保障すること。
- 評価者結果の本人への開示と評価者による評価根拠の説明を行うこと。
- 評価の活用結果も本人に開示し説明を行うこと。
納得性の確保
- 苦情解決の仕組みを充実すること。
- 評価者と被評価者が対話できること。
また、対話を通じて不当労働行為や利益誘導を行わないこと。
労働組合の求める「2要件」とは
労働組合の関与・参加
労働組合が人事評価制度に関与・参加するシステムが確立されることが前提として、能力・実績という基準を明確にするとともに、組合員の間に差別や不当な格差が生じないよう対自治体交渉を行う必要がある。
苦情解決制度の構築
「苦情解決制度の構築は、新たな人事評価制度の導入における前提条件として、整備・対応しなければならない課題」として、新たな評価制度のもとでは、「評価の結果」「評価の反映」の2段階に分けて苦情解決制度を設置する必要がある。
4.今後のとりくみを進めるために…
あらたな人事評価制度の導入にあたって現在、市側文書が職場で配布され管理職層の研修が進んでいますが、皆さんが不安や不満に感じ、疑問が生じた点については、ご意見・ご質問をお寄せいただき、あらためて市側の考え方を問い質していかなければならないと考えています。
以下のQ&Aも参考にしていただき多くのご意見をお寄せいただけますようご協力をお願いします。
Q1 あらたな人事評価制度って、よくわからないのですが…?
「人事評価制度」は「人事考課制度」と「目標管理制度」とに体系化されています。
「人事考課制度」は全職員が対象になり、役職別に必要とされる能力等を評価するものとされ、評価項目の着眼点をもとに人事考課シートにより上司が評価を行うとされています。
「目標管理制度」は、職員が組織目標に沿って定めた職務遂行上の目標に対する達成状況を測るものとされています。2003年度に課長代理以上に導入され、2006年度からは対象者が係長級以上に拡大されていますが、その効果や結果の反映状況などはまったく不透明です。
さらに、自己評価も導入され、評価者の評価実施前に、評価項目ごとに自己採点をするとしています。
Q2 いつから導入されるの?
導入については評価の試行を行うことなく、これまでの勤評制度を昨年11月に遡って廃止し、同時に新たな人事評価制度を適用するとしています。
Q3 公正・公平な評価が行われるの?
市側は、評価基準の公表、面談の実施、評価結果の開示など、より公平・公正性、客観性、納得性を重視するとしています。しかし、評価の試行と検証が予定されておらず、しかも評価結果の活用項目や基準が不透明であり、最終評価が相対評価であることなど多くの問題の解明が必要です。
Q4 標準的な職務要件って?
役職レベルや職務の級に応じて定められています。
課長級であれば…課の責任者として、関係先と適切な調整を行うことができる。円滑な業務遂行に向けて課員を統率し、課長代理以下の職員に対して適切な指導助言を行うことができる、等としています。
Q5 苦情相談のしくみはどうなるの?
開示請求の後、異議申し立てがある場合は受け入れてもらえるのか?
市側は評価結果に対する苦情相談のしくみについて整備するとしていますが、まだ整備されていません。
苦情処理は単なる「相談」では決定的に不充分であり、労使が対等に参画する苦情処理制度としての確立を求めていきます。
Q6 給与処遇への反映…とあるが、実施時期は?またその際には労使協議されるのか?
給与への反映は全て交渉事項であり、実施時期は未定です。人事評価に対する組合員の信頼性・納得性が高まらない中では、給与処遇へ反映することは到底認められるものではないと考えます。
Q7 第1次・第2次評価者は「絶対評価」なのに、調整者が「相対評価」になる理由は? 調整者は何を調整するのか?
理由は明らかにされていません。所属長が評価結果を相対的に調整するとされていますが、具体的な点は示されていません。「公平・公正の確立」の点から、絶対評価・加点主義を採用することが必要です。
Q8 上司が評価者という位置付けだけではなく部下から見た上司の評価をどこかで汲み取るような枠組みに整備できないのか?(双方向評価制度の確立)
他都市で実践されている「双方向評価」などの手法について、市側は今回の導入にあたっては困難としています。市側は、評価制度は管理運営事項として進めていますが、制度導入後も創意工夫や改善を加えるとされていることから、節目で粘り強く検討を求めることとします。






