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更新日:2020年12月22日

2020年大阪市人事委員会報告及び勧告
月例給の改定なし

 大阪市人事委員会は12月22日、市長と市会議長へ2020年度の「職員の給与に関する報告及び勧告」を行いました。月例給については、「公民較差が小さく、適切な改定を行うことが困難」として改定を行わないことが適当と報告しました。人事管理制度面では、現行の人事評価制度に対して「公平性を欠くとの懸念が生じている」と報告しました。本来の目的を果たしているのか的確な把握と検証を行い、一層合理的な制度の構築に努めるよう言及しました。コロナ禍の影響で例年に比べ3カ月近く勧告が遅れたが、市労連は引き続き2020年賃金確定期の交渉を推進していくとしています。

 本年の公民較差は▲115円(▲0.03%)。本年4月時点で公務が民間を上回りましたが、較差が小さいことから月例給については「改定見送り」となりました。保育士及び幼稚園教員についても改定は行われません。市労連は先に勧告された一時金が0.05月分引き下げられたことをふまえ、またコロナ禍においても昼夜を問わず懸命に働く組合員の職責と努力を十分に受け止めたものとはいい難く「残念な結果」としました。保育士と幼稚園教員も改定見送りとなりましたが、独自給料表の策定により給与水準が引き下げられた経過からも、早急な水準回復に言及するよう求めました。

 「給料表の構造等」で、昨年に続いてこれ以上の号給の増設は慎重に検討する必要があるとの言及にとどまったことに、現状は給料表と昇給制度の乖離が大きく、各級最高号給付近に位置付けられて昇給や昇格ができない職員が多数存在していることをあらためて指摘しました。勤務意欲の点からも、検討ではなく早急な抜本的見直しが必要として、総合的な人事・給与制度の構築にむけ言及するようを行うよう求めました。

 人事管理制度に関する課題として、人事評価制度について、「絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価において下位区分となる課題が解消されていない」、また、「所属ごとで結果が異なり、公平性を欠くとの懸念が生じている」と言及したことに対しても、相対評価が公平・公正性、客観性を著しく毀損していると指摘しました。人事評価によって能力実績主義を煽り、評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせるのではなく、一人ひとりの能力や各職場事情等を考慮した制度構築が必要であるとしました。

 また、「長時間勤務の是正」について、昨年4月の上限設定以降も一人あたりの年間時間外勤務時間数がほぼ変わっていないとの報告に対し、恒常的な時間外勤務に加えて、コロナ禍の影響により時間外勤務が増加している状況に言及しました。今後もさらなる長時間勤務の増加が懸念されるなか、「職員不足が原因であることは明らかだ」として、適切な勤務時間の管理・改善指導はもとより、要員の確保も含めた人事委員会としての対応を強く求めました。

 なお、これまで公民比較の際に平均値からの乖離が極端なデータを除外するため用いてきた「スミルノフ・グラブス検定」については、過去3年間の実施状況を検証した結果、今回から使用しないこととなりました。

大阪市人事委員会報告について

(市職調査局)

 今回の市人事委員会勧告・報告における課題や今後の交渉について現時点で考え方を整理します。

 月例給については、較差が小さいため給与改定の必要なしとなりました。一時金については、既に決着したが、0.05月分の引き下げ分を期末手当で調整したことは不満の残るものとなりました。

 民間給与の調査時期について、月例給は本年4月時点、一時金は昨年の8月から本年7月までに支払われたものが対象となっており、コロナ禍の影響が反映されたものとはいい難く、本格的にその影響を受ける来年度以降が危惧されます。

 公民比較の在り方では、2017年からスミルノフ・グラブス検定を利用し、極端な民間給与データを比較の対象から除外していたが、3年間の検証の結果、今回から使用しないこととなりました。当初より、データの除外自体が職員の給与水準引き下げを目的としており、あらためるべきと強く指摘してきた経過から当然の結果といえます。

 人事評価については、現制度では公平性を欠くとの懸念が生じるとするなど、2年連続で人事評価に言及した。昨年も交渉によって一部改善が図られており、引き続き市側へ問題点の解消を求めていきます。

 昨年度の一人あたり時間外勤務時間数は前年度とほぼ変わらず恒常的な長時間勤務が生じ続けている状況に加えて、コロナ禍の影響から長時間勤務の増加が懸念されます。要員問題との関連もふまえつつ議論を進めていきます。

 定年延長に関わっては、直接言及はされなかったものの、制度設計にむけ確定交渉を通じ議論を進めていきたいと考えています。